SSブログ

中国でのコンビニ急増が「恐るべきシナリオ」の布石かもしれない理由 [中国]

2022年の記事

コンビニ急増・・・・・・
日本では・・・・労働力が・・・・と言うのが主体の報道が多くされる・・・・



https://diamond.jp/articles/-/311952
中国でのコンビニ急増が「恐るべきシナリオ」の布石かもしれない理由
姫田小夏:ジャーナリスト

2022.10.28 4:20

10月16日から開催された中国共産党第20回全国代表大会(以下、党大会)を経て、習近平政権は3期目となる5年間の任期に突入した。これで、台湾統一に向けた体制が強まりそうだ。台湾独立をめぐり米国との対決が回避できなくなった場合を視野に入れ、中国では戦時体制の構築をさらに一歩前進させる。中国の市民生活にも影響が出そうだ。(ジャーナリスト 姫田小夏)
毛沢東を超越するための「台湾統一」
中国でのコンビニ急増が「恐るべきシナリオ」の布石かもしれない理由中国のコロナ禍で、住民にとって身近なコンビニの存在が急浮上(著者撮影)

 軍事力と経済力を強化し、中華民族を復興させるという習近平氏の「中国の夢」――。その野心的なスローガンはすでに日本でも知られているが、習近平体制が発足した2012年から、同氏はその布石を着々と打ち続けてきた。

 19~20世紀初頭にかけて西側諸国による領土分割を経験した中国が、その復讐(ふくしゅう)の爪を研ぎながら超大国を目指す変貌ぶりに、米国を筆頭に西側諸国が対抗してきたのが近年の動きだ。

 習氏の3期目は、自らを神格化するためのクライマックスの5年間となる。今年8月、中国は「台湾統一白書」を更新したが、台湾独立の動きに対して「武力行使の放棄は約束するものではない」とする表現に外国メディアはざわついた。

 正念場を迎えるのは2024年だ。台湾の総統選(1月)と米国の大統領選(11月)で「台湾独立」を支持する指導者が選ばれれば、中国のレッドラインを侵すシナリオは必至となり、事態はさらにエスカレートするだろう。

 実際、中国は「Xデー」に向けて、着々と備えている。上海のロックダウンやコンビニの店舗数を増やす計画も、懐疑的に見ると、先々を見通した計算のうち……かもしれないのだ。


自給自足体制の布石、小麦の輸入急増のワケは

 実際に中国国内では準備が進んでいる。「技術の自給自足体制」の構築はその表れだ。

 2016年10月、習氏は「外国に頼らず、核心技術をつかんでイノベーションを起こせ」と指示、何十年も市場を独占した外国製品と“決別”する覚悟で、半導体を含む国産技術の開発を急ピッチで進めた。

 2020年10月に開催された5中全会(中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議)では、「双循環」(国内外の経済が互いに作用する新たな仕組み)というキーワードが打ち出された。当初は「海外との経済連携が進むのでは」との期待もあったが、真の狙いは過度な海外市場への依存を避け、内需型経済を促進し、より“内側にこもる仕組み”の確立だった。

 さらに、2021年10月、習政権は兵役法を改正し、施行に踏み切った。軍事制度における重要な法律に位置づけられている兵役法の改正は、兵役業務を強化し、国民の兵役を促すためのものである。

 戦闘態勢に突入しようとする中国が欲しているのは“マッチョな愛国男子”だ。

 ところが、 若い世代に“国防”のスローガンは響かず、特にZ世代は“ニャンパオ”と呼ばれる“イケメン”たちを追いかけるのに夢中だ。漢字で「娘炮」と書くこの言葉には、「女性っぽい男性」という意味があり、「はにかむような笑い方や細い腰つきのしなり具合」(光明日報)にその特徴があるとされているが、習政権はこうした趣向に異を唱え、昨年は集中的に“ニャンパオ排除”が行われた。

 一方で、ロシアがウクライナ侵攻を始めた今年2月、中国はロシアからの小麦の輸入を拡大させた。中国はコメ、小麦、トウモロコシの自給率では98%を超えているにもかかわらず、近年、小麦の輸入を急増させている。小麦は肉まんや餃子の皮など中国の食生活に欠くことができない主要な農産物だが、2021年の輸入量は977万トンで、前年比14.2%も増加しているのだ(数字は河北省食糧物資備蓄局)。

 小麦の輸入増の理由は、養豚のための飼料確保、中国の構造的な農地不足なども指摘されるが、これは食料の備蓄政策に他ならない。

 なお、すでに中国は世界の備蓄量の半分に相当する小麦を蓄えている。また、調達ルートを多元化し、政治的リスクのあるカナダ、米国、オーストラリアからの輸入割合を縮小させ、ロシアなど新興の小麦輸出国へのシフトを模索している。


上海ロックダウンも「予行演習」だったか

 異例の3期目続投に持ち込んだ習氏だが、「慣例を破るだけの功績があるのか」といった素朴な疑問に応えるためにも、“ビッグな功績”を打ち立てないわけにはいかない。

 毛沢東は新中国の建設、鄧小平は改革開放――。こうした歴史に残るレガシーは今のところ習氏にはない。「一帯一路」も不安定さが指摘される中、唯一残されているのが「台湾統一」の実現だ。

 振り返れば、春先の上海のロックダウンは2カ月超に及んだ。当初、上海でも「ウィズコロナ」路線が支持されていたものの、3月半ば過ぎからは中央政府の要請で「ゼロコロナ政策」が徹底され、今なお、住民のオミクロン株に対する恐怖をあおり続けている。

 上海住民の間では “敵”(この場合は、新型コロナウイルス)を想定して命令に従わせる強引さに対し、「これは何かの予行演習ではないか」とささやかれるようになった。2020年の“武漢市のロックダウン”より厳しい、上海市の「一歩も家から出るな」という措置は、確かに「有事を想定した際の外出禁止」を想い起こさせるものだった。

 武漢市にせよ上海市にせよ、封鎖を行い、住民を自宅に閉じ込めれば、即問題となるのが食料や日用品の調達だ。上海のロックダウンでは食料供給の不公正さが大問題となり、住民は団体購入を利用するなどして必死の思いで食料を調達した。

 有事においては、住民への配給が課題となることに、中国は身をもって気づいたのである。


コンビニは「兵站(へいたん)」になるのか

 ここでクローズアップされるのが、コンビニである。

 4大会計事務所のKPMGと中国チェーンストア・フランチャイズ協会が今年9月に発表した「2022年中国コンビニ発展報告」によると、「中国政府は、コロナ禍の住民生活を確保する上で重要な役割を果たしたコンビニを重視している」という。 

 住民の身近に存在すると同時に、細かいニーズの変化に対し、タイムリーなサービスができるコンビニが高く評価された形となった。

 今後、中国政府は、地元政府や地域(社区)との協力で、供給の確保や価格の安定化など公共サービス機能を持つコンビニを「都市公共サービスインフラ」に組み込む考えだ。

 深読みをすれば、それは今後もゼロコロナ政策を継続させる可能性があるということだ。「今後も散発的なロックダウンは継続するけど、コンビニを増やすから安心してね」という暗示にも受け取れる。

 さらに邪推すれば、選局が拡大した場合に敷く行動制限下での、住民の食料供給の「兵站(戦時における食料補給機能)」としてコンビニを活用させる算段なのかもしれない。ちなみに、中国チェーンストア・フランチャイズ協会によれば、2021年の中国のコンビニ店舗数は25万3000店(日本の4.5倍に相当)だが、今後、中国政府はさらに増やす計画だという。

 小規模商圏の住民ニーズを満たすコンビニは、中国の「第十四次五カ年計画」の中でも内需拡大を発揮させるために不可欠な小売業態だと捉えられている。国産品を供給するプラットフォームとして、また住民にとっての生活インフラとして、確かにコンビニは活用の余地がある。

「第3期習政権」が推し進める“戦時下の自給自足体制”においては、コンビニに「兵站」としての新たな機能が与えられるかもしれない。居住地でコンビニが数を増したとき、それが与えるメッセージは「その日が近い」という示唆になるのだろうか。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感